新しい傷の治し方 湿潤療法 ラップ療法

けがしたら、消毒して絆創膏はりますね。

でも、かさぶたがはがれて再び傷ができてしまったり。

かさぶたがガーゼにくっついてまた傷を作ったり。

 

最近では、かさぶたを作らない湿潤療法・ラップ療法があります。

 

消毒薬を使わず、水道水で洗い流し、乾かさない(湿潤状態)でかさぶたを作らないで治す方法です。

 

傷ができると

  • 傷口から浸出液が出てきて、それが乾くとかさぶたができます。かさぶたが傷を保護し、中の乾燥を防ぐ役割をしています。
  • しかし、かさぶたがはがれたり、ガーゼがくっついてしまったりすると治りが遅くなってしまいます。
  • かさぶたを作らずに、ガーゼを使わず、ラップやハイドロコロイド素材絆創膏でピッタリおおい乾燥を防ぐと湿潤状態になり、傷が早くきれいに治ることがわかりました。

 

浸出液とは

  • 傷口からジクジク出てくる透明な液体が浸出液。血小板やマクロファージの他に皮膚を再生する材料がいっぱい含まれています。

傷口は

  • 傷口は浸出液でおおわれて適度な湿度を保つと治りが早くなります。(乾かさない)
  • 浸出液や死んだ細胞がたまると細菌が増えやすくなるので、毎日ラップを取り換え、傷を水道水で洗い被覆材を取り換えます。

 

消毒液は使わない

  • 消毒液を使っても殺菌効果は一時的で、また増えてきます。
  • 消毒液を使うと、感染に対応する白血球やマクロファージが消毒液で傷つき、感染の対応が遅れます。
  • 傷口の再生をになう細胞が消毒薬で障害を受けて治りが遅くなります。

 

ラップを使う場合

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ラップと白色ワセリン 

白色ワセリンはなくてもOK

  1. 水道水で傷のよごれを洗い流す。

  2. 水をポンポンと拭き取る。
  3. ラップなどの被覆材をはる。(ラップに白色ワセリンを塗ると痛みがラクになる)
  4. ラップは絆創膏でとめる。ただしラップ内に浸出液をためないように、出口を作る。(ラップの外枠をピッタリ全部おおわない)
  5. 包帯があれば巻く。
  6. 毎日傷を洗いラップを取り換える。浸出液の多い場合は1日2~3回。

 

ハイドロコロイド素材の絆創膏の場合

 

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他にも色々あります
  1. 水道水で傷のよごれを洗い流す。
  2. 水をポンポンと拭き取る。
  3. 市販のハイドロコロイド素材の絆創膏をはる。これには白色ワセリンを塗らない。
  4. 使用方法・禁止事項・使用上の注意をよく読んで、使ってください。

 

キズパワーパッドを使ってみると

  1. 浸出液は絆創膏が吸収してその部分が白っぽくふくらむ。良くなってくると白い部分が小さくなってくる。
  2. 自分で使うときには、浸出液がいっぱい出ているとか、痛いとか、ズキズキするとなどすぐわかり、こまめに傷を洗ってパッドを新しいのにはりかえることができますが。。
  3. 子どもは自分の症状をうまく伝えられないですね。
  4. 1日1回以上は浸出液があふれていないか、痛みがひどくなっていないか等々みたほうがいいと思います。
  5. 高齢者によっては、はって安心してしまうかも。うーん難しいですね。

 

他にも

  • 様々なハイドロコロイド素材のテープがあります。もっと安い価格のもあります。
  • 台所の三角コーナーで使ったりする穴あきポリ袋とオムツや生理用品などの吸水シートで作る方法も本で紹介されていました。

注意すること

  •  深い傷、ギザギザの傷、傷の奥にガラスやゴミが残っているとき、動物に噛まれたときにはすぐに医療機関にかかる。
  • 絆創膏やラップのかぶれに注意。はる場所をずらしたり、絆創膏の種類をかえてみる。
  • 赤くはれてきたり、熱をもったり、ズキズキしり、黄色い膿がでてきたら、細菌感染している可能性が高いので医療機関を受診する。
  • 糖尿病や閉塞性動脈硬化症などの血行障害のある人は医師に相談。

 

 

よごれを水道水で洗う、ラップは毎日とりかえるのがポイント。

新しいいろいろタイプのハイドロコロイド素材のテープが出てきています。

 

 

  • 水島章浩著「自分で行うとっさの傷の手当て」ラップ療法が詳しく説明されています。
  • 水島章浩著「スキンテアハンドブック」高齢者の傷や褥瘡のラップ療法。こちらは介護する人向けです。
  • 入江康仁著「湿潤療法の考え方、使い方」専門家向けですが、湿潤療法がわかりやすく詳しく説明されています。
  • 静岡大学病院保健センター ホームページ「傷の手当 湿潤療法
  • 夏井睦氏のホームページ「新しい創傷治療」は随時更新されています。